SESのボランティアになるには? セトルメントガイド

洪水や嵐などの災害時に重要な役割を担うボランティア。州やテリトリーの緊急サービス(SES)に参加をするにはどのようなスキルが必要なのでしょうか? そしてどのようなことを期待されるのでしょうか?

Floods NSW

SES volunteers launch an inflatable rescue boat in Camden, South Western Sydney, Tuesday, March 8, 2022. Source: AAP Image/Dean Lewins

キーポイント:

  • 各州・テリトリーには、それぞれの緊急サービズがある
  • SESではボランティアのトレーニングを受けることができる
  • ボランティア活動はコミュニティーへの恩返しになる

オーストラリアの各州やテリトリーにはそれぞれ、緊急サービズがあります。

しかしステート・エマージェンシー・サービズ(SES)という名称は、大規模な災害や事故発生時に支援を提供する、オーストラリア全土にある数多くの組織を指します。

SESは主に、洪水や嵐、津波などといった自然災害における支援を提供していますが、他にもロープレスキューや交通事故救助、行方不明者の捜索、医療搬送などの緊急事態にも対応することができます。

また、SESは他の機関、特に警察や消防機関などに支援を提供することもあります。

災害への備えと対応

ビクトリア州の緊急サービス(VICSES)でボランティア支援を担当するプリシラ・グリムさんによると、同組織では、災害時の対応を支援するだけでなく、災害へ向けたコミュニティーの備えも支援しています。
私たちは洪水、嵐、地震、地滑り、津波を管理する機関ですが、私たちの日常業務は、嵐による被害、例えば自宅や車、道路の倒木処理です
VICSES は応急処置を行うことができます。

「例えば、木が屋根を突き破った場合、屋根の上に砂袋などを置いて、住宅の安全を確保します」

「これは屋根職人や水道屋が最終的な修理をするまでの一時的な処置となります」
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SES workers try to remove an enormous tree out of the top storey of a house in Wahroonga in Sydney, on December 4, 2001. Source: AAP Image/Laura Friezer
ニューサウスウェールズ州のSESで戦略マネージャーを務めるアンドリュー・マッカロー氏は、ボランティアはSESにとって「生命線」であると語ります。
SESは99%がボランティアで構成されています。ニューサウスウェールズ州には1万人近いボランティアがいて、24時間365日、コミュニティーを助けるために対応しています
「スタッフは約250名と少数で、その大半は無償のボランティアです。彼らがいなければ、我々の機関は成り立ちません。オーストラリアでは、このような緊急管理業務の多くをボランティアに頼っているのです。彼らの存在は大変重要です」

オペレーションとノンオペレーションの役割

ボランティアは、緊急事態の管理全般にわたって幅広い活動を行っています。

グリムさんによると、メンバーには実際現場で支援を行うオペレーションと、その裏方で支援をするノンオペレーションの役割があるそうです。

「私たちの機関は、常に新しいボランティアを募集しています。屋根に登ったり木を切ったりするのは自分には向かないと思っている人でも、機関には常に他のポジションがあるのです」

「財務や事務担当者は常に必要ですし、地域の学校など、コミュニティーと交流して、嵐や洪水などに備えるためのトークを喜んで引き受けてくれる人も必要です」

訓練とスキル

SESのボランティアに参加することで、訓練を受けることはできますが、最も重要なのはチームの一員として、問題の解決に取り組めるかどうかであると、グリムさんは語ります。

「コミュニティーの一員として自覚を持つことが大切です」
ボランティアに共通しているのは、困っている人を助けたいという気持ちですが、そのためには健康で元気である必要があります
「我々が行う業務の中には、ブッシュランドを歩いたり、行方不明者を探したり、ビーチを歩いたりと、少し激しいものもありますが、現場に送り出す前に必要なトレーニングはすべて受けてもらいます」

例えば、VICSESのボランティアに応募する場合、まず応募者全員がその役割を理解し、トレーニングやボランティア業務に必要な時間にコミットできるかどうか、が行われます。
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A supplied photo of a Brisbane SES team practicing car crash rescue operations at the state road rescue challenge in Melbourne, Saturday, Dec. 6, 2008. Source: AAP Image/SES, Allan Briggs
マッカロー氏が学生時代にボランティアとしてSESに参加した11年前、彼はSESで必要とされる特別なスキルを持っていなかったと話します。

「チェーンソーやジグソーの操作方法や、大きな交通事故の際に利用されるジョーズと呼ばれる道具の使い方を学びました」

「応急処置や基本的な救助訓練など、我々はまず重要なスキルを教えます。そして、雨水用具の基本も教えています」

誰が参加できる?

ニューサウスウェールズ州のSESによると、テンポラリービザ保持者でも、ビザの種類によってはボランティアに参加できると言います。

一般的に、ビザが有給労働を許可している場合は、ボランティアに参加することができます。ビザをお持ちの方は、からビザの詳細と条件を確認することができます。

またニューサウスウェールズ州のSESでは16歳、17歳でもボランティアに参加することは可能ですが、参加時にに記入する必要があります。

NSW SESでは18歳未満でも、ほとんどの活動に参加することができますが、のような外傷を伴う可能性のある事件には参加することはできません。

一方、クイーンズランド州のSESでは、応募する条件リストを用意しています。18歳以上の応募者は犯罪歴チェックを受ける必要があるほか、「熱意がある」、「冒険好きである」、「コミュニティに恩返しをする意思がある」などその条件は多岐にわたります。

具体的な条件については、各州・テリトリーのSESで確認する必要があります。(下記ウェブサイト一覧を参照)

文化的・言語的多様な人々の参加を奨励

NSW SESは、英語以外の言語を話せるエスニック・バックグラウンドのボランティアの存在を大切にしていると、マッカロー氏は説明します。

「ニューサウスウェールズ州のコミュニティーは実に多様であり、SESもそれを反映させることを目指しています」

「また、あらゆるバックグラウンドの人々が参加することで、よりコミュニティーとの関わりを深めることができるのです」
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SES volunteers search for bodies in the fields surrounding the township of Grantham, Saturday, Jan. 15, 2011. Source: AAP Image/Dean Lewins

コミュニティーへの恩返し

SESに参加することは、コミュニティーに恩返しするよい方法であると、グリムさんは語ります。

20年前に来豪したアフガニスタン出身のズルフィ・ヒダリさんは現在、ビクトリア州の地方部で暮らしています。ヒダリさんは行方不明者の捜索をはじめ、動物の救助、犯罪現場で警察捜査の手伝いを行ってきたと言います。
来豪したとき、この国は私を歓迎してくれたため、コミュニティーのために何かをしたいと思っていました。それがSESに参加する一番の理由です
またヒダリさんはSESでの活動を通じて、多くの友人ができたと語ります。

2015年にNSW SESに参加した、リズモア部隊のメンバー、テレシア・ロロアさんは、SESへの参加は「最高の選択であった」と振り返ります。

「SESに参加して約8年になりますが、私の人生の中で最高の経験の一つです。リズモア市のSESユニットには、約80名のメンバーがいます」
SESにはさまざまな役割があります
「私は多くの素晴らしい仲間と出会うことができました、まさにSESファミリー、家族そのものです」
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A supplied photo of a Brisbane SES team practicing car crash rescue operations at the state road rescue challenge in Melbourne, Saturday, Dec. 6, 2008. Source: AAP Image/SES, Allan Briggs

応募方法

SESへの参加を希望する方は、まずは各州やテリトリーのSESウェブサイトにアクセスしてみてください。

「SESは、さまざまなコミュニティー・グループからボランティアを受け入れており、あらゆるスキルや経歴を持つ人と話をすることを強く望んでいます。またSESのウェブサイトから応募フォームに記入することもできます」

また地元のユニットを実際に訪問して、現在のボランティアに活動について話すことも可能であるとマッカロー氏は言います。

最寄りのSESについては、以下のSESウェブサイトをご参照ください。応募フォームに記入することもできます。

















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Published 6 April 2022 12:04pm
By Chiara Pazzano
Presented by Yumi Oba


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