豪2050年までにネットゼロ実現へ 計画を発表

スコット・モリソン首相はこの計画を、英グラスゴーで10月末から開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に持ち込む予定です。

Prime Minister Scott Morrison speaks to the media during a press conference at Parliament House in Canberra.

Prime Minister Scott Morrison speaks to the media during a press conference at Parliament House in Canberra. Source: AAP

スコット・モリソン首相は、二酸化炭素の排出量を2050年までに実質ゼロにすることを表明し、この新たな計画をグラスゴーに持ち込むことを発表しました。しかし、2030年までの短期目標の修正は実施されません。

2050年までの目標をめぐっては、連合内で最終的な合意を得るために、数ヵ月に渡る交渉が行われてきました。

COP26サミットに参加する各国の首脳は政策の野心を高めるよう、求められてきましたが、オーストラリアは修正された計画をサミットを数日後に控えた今日、発表しました。

モリソン首相は、この計画はテクノロジーを活用し、脱炭素経済への移行に伴う雇用や産業の保護との「バランスを取る」ことを目指していると述べました。

「オーストラリアは2050年までに我々が進むべき道を決断する。オーストラリア人がオーストラリア人のために、今、決断する」

「これは革命ではなく、市場の変化を利用した慎重な進化である」とキャンベラの記者団に述べました。



しかし野党は、この提案には成果を実現するための実質的な詳細や新たな取組が欠けていると、批判しています。

その一方でモリソン首相は、この「オーストラリアらしい」計画は、地域に悪影響を与えることなくエネルギー転換の機会を確保するものだと主張しています。

「この計画は、石炭やガスの生産や輸出を停止させるものではなく、家庭や企業、経済に影響を与えるものでもありません」
2050年までに目標を達成するには、2030年までに排出量を30-35%削減することが求められる一方で、政府は現在の目標である2005年比で26〜28%削減については正式に更新していません。

今回の政策発表は、オーストラリアの地方への影響を懸念していた国民党との合意に基づいて行われました。

この計画では、生産委員会が5年ごとに2050年政策の見直しを行い、農村・地域社会の状況に焦点を当てることが盛り込まれています。

エネルギー転換を促進するための技術への投資やインセンティブ、オフセットなどが提案されており、政府は、2030年までに低排出技術に200億ドルを投じることを約束しています
またこの計画はクリーンな水素、超低コストの太陽電池、エネルギー貯蔵、低排出ガスの鉄鋼やアルミニウムなどの技術開発に頼るもので、同時期に600億ドルから1,000億ドルの官民投資が行われると予想されます。

モリソン首相は、この計画案は、世界が直面する気候変動に、経済全体で取り組むアプローチを採用しているとし、「気候変動による脅威から身を守ると同時に、チャンスを実現する必要がある」と述べました。
また、土壌炭素や土地の隔離、炭素回収・貯留など、インド太平洋地域からのオフセットも重要となります。

アンガス・テイラー・エネルギー相は、この政策を「絶対的なゼロではなく、ネット・ゼロ」を目指す計画であるとし、その目的を達成するためにはオフセットが不可欠であると述べています。

「ここでのビジョンは、2050年までにネット・ゼロを達成するために実践的な行動をとることです」と記者団に語りました。

2050年の計画が打ち出された一方で、その背後にある詳細は、「別の機会に」発表するとし、公表されていません。

野党のアンソニー・アルバニーズ党首は、「モデリングも、法律も、団結力も、すべてがゼロだ」と政府の発表は詳細が不足しているとし、「今世紀で最も重要な国際会議に飛び立つ2日前に、首相はこのような非政策を打ち出した」と批判しました。

政府が提供したスライドショーによると、オーストラリアの炭素排出量は2005年から20%減少していると説明されています。
政府は、今後30年間で残りの80%を達成するために、技術投資のロードマップに基づき、40%の排出量削減を目指しています。

世界的な技術動向が15%、国際的および国内的なオフセットが10〜20%の削減を占めると予想されており、この企画は政府が対応をしなかった場合と比較すると、国民総所得が1.6%増加するほか、鉱業や重工業で6万2000人の雇用創出が予想されます。

一方で、2035年までにネット・ゼロを目指す緑の党のリーダー、アダム・バンド氏は、この計画は気候変動の脅威に対応するために必要なことを行っていないと批判しています。

「これは気候変動の詐欺。新しい資金も、新しい政策もなく、石炭とガスが増えるだけだ」と記者団に語りました。
モリソン首相は、国民党の過半数の支持を得てネット・ゼロ目標を決定したにもかかわらず与党は、2030年のコミットメントを強化することに反対し続けています。

モリソン首相は、連合が合意に至るまでの道のりが「困難」であったことを認めた上で、2030年の目標を正式に更新しないという政府の決定を擁護しました。

「より良い結果が得られるかもしれないが、これが我々がオーストラリア国民に提示するアプローチだ」と述べました。

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Published 26 October 2021 6:32pm
By Tom Stayner
Presented by Yumi Oba
Source: SBS News


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