電子たばこ 規制強化求める声

オーストラリアの医薬品監視機関が規制を見直す中、フレーバー付きのニコチンベイプ製品の禁止と、より厳しいパッケージング要件を求める声が上がっています。

A man smoking an electronic cigarette (vape).

Some health advocates are calling on the government to tighten rules around vaping. Source: AAP

KEY POINTS:
  • ニコチンベイプ製品を薬局で購入するには医師の処方箋が必要
  • コンビニやタバコ屋での販売は禁じられているものの、闇市場が存在
  • 一部の健康擁護団体からはベイプに関する規制強化を求める声も
複数の医療専門機関は政府に対し、電子たばこ(ベイプ)に関する強力な対策を講じなければ、オーストラリアは「公衆衛生上の戦い」に敗れる可能性があると警告しています。

このほど豪薬品・医薬品行政局(TGA)に規制強化を求めた団体の中には、オーストラリア医師会(AMA)やロイヤル・オーストラリアン・カレッジ・オブ・ジェネラル・プラクティショナーズ(RACGP) も含まれます。

RACGPは18日、オーストラリアでベイプを利用する若者が増える中、政府は国民の健康を守るために、ニコチンベイプ製品(NVP)に関するより厳しい規則が重要であると訴えました。

TGAは、ニコチンベイプ製品の規制改革案についてパブリックコンサルテーションを実施しており、今週その受付を終了しました。

電子たばこ、またはベイプとは?

電子たばこ(Eシガレット)またはベイプディバイスは、液体を加熱して蒸気を発生させ、それを吸引するもので、NVPにはニコチンが含まれます。
オーストラリアでは2021年10月以降、すべてのニコチンNVPはオーストラリアの薬局、および海外供給によるオンラインを含め、医師の処方箋がなければ購入できません。

タバコ屋やコンビニエンスストアなど、その他の小売業者は、処方箋があってもNVPを販売することは違法です。

ベイプをめぐる現在の政策は?

シドニー大学公衆衛生学部のベッキー・フリーマン准教授は、電子たばこの使用に関する若者の態度や行動を追跡する国家プロジェクトの主任研究員です。

フリーマン准教授は、若者をベイプから守るという点では、オーストラリアの政策は書類上では一見「ベストプラクティス」であるものの、現実は異なると述べています。

これは非ニコチン製品が処方箋なしにコンビニエンスストアやタバコ屋、オンラインショップで自由に販売されていることに起因すると、彼女は指摘します。

「ニコチンを含むデバイスと含まないデバイスの違いを見分ける唯一の方法は、実験室でテストする場合です」

「輸入業者、小売業者、オンライン販売業者がこの法律を回避するのに時間はかかりませんでした。ですから、このような違法な製品で市場が完全に溢れかえってしまったのです」、と彼女はSBSニュースに語りました。

11月、TGAが発表したコンサルテーションペーパーによると、現行法にもかかわらず、NVPの闇市場が存在し、NVPが子供やティーンエイジャーによって容易に違法にアクセスされていることが明らかになっています。
A woman uses a vape
The market has been flooded with illicit vaping products, according to Becky Freeman, an associate professor at the University of Sydney's School of Public Health Source: SBS / The Feed

若者のベイプに大きな懸念

フリーマン准教授は、「電子たばこは禁煙を目指す大人だけを対象にしている」という主張は、現実を反映していないと指摘します。

「これらの製品を実際に使用している人をよく見ると、それは禁煙を目的とした使用ではなく、その大部分が、喫煙をしたことがない、またはたばこと電子たばこの両方を使用する24歳以下の若者です」

フリーマン准教授は、この現状の責任は製造業者とマーケティングにあると考えています。

「彼らの戦略は同じであり、これまでと同様に冷笑的です。たばこを吸ったことのない若者がどんどんベイプをするようになり、これは深く憂慮すべきことです」、RACGPのニコール・ハリス会長は18日、声明で発表しました。

「ベイプは無害でも安全でもない」

オーストラリア医師会(AMA)のスティーブン・ロブソン会長は声明で、オーストラリアはベイプをめぐる公衆衛生の戦いを失う危険性があると述べました。

「ベイプは無害でも安全でもありません」
またTGAに提出された書類では、禁煙ツールとしてのNVPのエビデンスが乏しく、逆にベイプが若者にとって喫煙への入り口になっているとも指摘されました。

「ベイプには、より強力な規制を必要とする重大なリスクがある」とロブソン会長は述べています。

「ニコチンを含まないとして販売されている多くの製品が、ニコチンを含んでいることが分かっており、また、ビタミンEアセテートやジアセチルなど、肺に深刻なダメージを与える可能性のある禁止化学物質を含む製品も見つかっています」

規制強化を求める声

AMAは提出書類の中で、許容されるニコチン濃度を下げるための大幅な調整と、NVPの処方を可能にする個人輸入スキームの終了を求めました。

また、香料を排除し、パッケージング要件を導入するとともに、税関を通じたすべてのベイプ製品の輸入を管理することも望んでいます。

RACGPはこれに加え、ベイプ製品を他の医薬品と同等の扱いにし、オーストラリア医薬品に登録することを求めています。

一方、オーストラリアコンビニエンスストア協会(ACCS)などのロビー団体は、会員がたばこと同じようにベイプを販売できるようにするよう働きかけています。

ACCSのテオ・ファウカレCEOは、ベイプがたばこ同様に成分や香料、パッケージングに関する規制で管理され、それらを販売することが可能になれば、ブラックマーケットを食い止めることができると考えています。

しかしフリーマン准教授は、オーストラリアでは他の危険で中毒性のある薬物を治療目的で消費財として自由に販売することが認められていないとし、ベイプ製品もそうであるべきと述べています。

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Published 19 January 2023 1:05pm
By Emma Brancatisano
Presented by Yumi Oba
Source: SBS


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