職場での差別と法的保護の仕組み セトルメントガイド

法に触れる職場での差別とは? もしあなたがそのような差別の被害にあったらどのように対処したらいいのでしょうか?

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Source: Pexels/energepic.com

オーストラリアのダイバーシティ・カウンシルは、2年に1度、オーストラリアの全労働力を対象に、インクルージョンやハラスメント、差別を調査した「Inclusion@Work Index」を発表しています。

次回のインデックスは2021年12月に発表されます。


ハイライト

  • オーストラリアには差別やハラスメントから人々を守るための連邦法、州法、テリトリー法があります
  • 職場における違法な差別とは、ある従業員が特定の属性を理由に、他の人よりも不利に扱われることです
  • ある従業員を特別扱いすることは必ずしも法に触れる差別ではありません

法に触れる職場での差別とは?

職場における違法な差別とは、人種、年齢、性的指向、妊娠、宗教などの属性を理由に、雇用主がその人に対して不利な行動をとることです。

シドニーに拠点をおく、「Anderson Gray Lawers」のシニア弁護士、メガン・パパ氏によると、オーストラリアには差別やハラスメントから人々を守るための連邦法、州法、テリトリー法があると言います。
職場における違法な差別とは、性別、人種、障害、年齢などの特徴を持つ従業員に対して、他の従業員よりも不利な扱いをすることです
オーストラリアの反差別法では、直接的な差別と間接的な差別があるとパパ氏は言います。

「従業員に対して、人種、年齢、性別、障害などの理由で遵守できない要件や条件を要求し、それらが特定の従業員に不利益を与える、またはその可能性がある場合、違法な差別とみなされる」とパパ氏は説明します。

例として挙げられるのは、子供を保育園に送り迎えする必要がある従業員に対して、雇用主がこれを可能にする調整などを行わない場合です。
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Source: Pexels/Sora Shimazaki

パパ氏によると、もし雇用主が、家族の責任を理由に時間外労働の指示に従わなかった従業員に対して懲戒処分を下した場合、それは「差別」になる可能性があると言います。

一方で、従業員は自分の状況を確実に雇用主に伝え、必要に応じて適切な調整ができるよう認識してもらう必要もあります。

アドバース・アクションとは?

「アドバース・アクション」とはフェアワーク法で用いられる言葉であり、不利益行為を意味します。

ブリスベンを拠点とする「 Maurice Blackburn Lawyers」で、雇用・産業法を専門とするシニア・アソシエイト、パトリック・ターナー氏によると、「アドバース・アクション」とは、従業員を解雇したり、労働中に怪我を負わせたり、不利益になるよう立場を変えるといったことが挙げられ、特定の理由で行われた場合は違法となります。

「減給、降格、警告なども例に挙げられる」としています。

また「アドバース・アクション」には、従業員を差別することや、「不利益処分を行う」と脅したりすることも含まれるとターナー氏は説明します。
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Mwanaume afanya kazi Source: Pexels/Ron Lach

合法的な差別

ある従業員を特別扱いすることは必ずしも法に触れる差別ではありません。

フェアワーク法では、雇用主が従業員の特定の属性を理由に差別をしなければ、必ずしも不利な処分とはみなされません。

ターナー氏によると、些細な差別は時には「差別」にはみなされない場合もあると言います。

もしあなたが泥酔して職場に現れ、「職場ではしらふでなければならない」といったポリシーがある場合、警告を受けるでしょう。しかしそれが、他の従業員と同じ扱いであれば、あなたが異なる人種であったり、障害があっても「差別」とはみなされないと語ります。

パフォーマンス・マネジメント

オーストラリアのダイバーシティ・カウンシルでCEOを務めるリサ・アネーゼ氏は、雇用主にはスタッフのパフォーマンスを管理する正当な権利があると話します。

パフォーマンス・マネジメントはときに差別と混合されることがあると言いますが、別の問題であると言います。
パフォーマンスが不十分な個人の業績を管理することは差別ではありません
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Source: Pexels/Sora Shimazak

差別を受けていると感じたらどう対処する?

メガン・パパ氏は、もし職場で差別を受けたと感じたら、まずは雇用主に直接問題を提起すべきだと話します。

「ほとんどの雇用主は、苦情処理プロセスを備えていますので、問題を解決するために、まず雇用主に報告すべきです」

職場で問題が解決しない場合は、雇用弁護士や反差別弁護士、あるいは組合のメンバーであれば組合に相談するなどして、アドバイスを受けるべきです。

重要なのは、自分たちには権利があるということを知ることであるとターナー氏は語します。

ターナー氏は、人々が自分たちには権利があることを知ることが重要だと言います。

連邦法、州法、テリトリー法

オーストラリアには、差別やハラスメントから人々を守るための連邦法、州法、テリトリー法があります。

「大まかに、州法は多くの同じ行為を禁止としていますが、それらの間には些細な違いがある場合もある」とし、場合によっては、連邦法よりも州法に基づいて申し立てを行った方が良い場合もあると、ターナー氏は助言しています。
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Source: Pexels/Andrea Piacquadio

不法な差別に対する請求から起こりうる結果とは?

差別の訴えによって生じる結果は、さまざまであるとターナー氏は言います。

「場合によっては復職できるかもしれません。現行の仕事に戻される場合もあれば、経済的損失の補償として、収入喪失などの補償を受けることもできるかもしれません」。

「仕事を失って元に戻れない場合、被った怪我やそれに関連する苦痛や屈辱に対する補償も受けられるかもしれません。つまり、それがあなたをどのように感じさせたかということです」。

また、裁判所や審判所は、雇用者に罰金を課すなどの命令も下すこともできるとし、人々はこのような権利を行使することを恐れてはいけないと言います。
差別を受けたときに雇用主に立ち向かうことで、後続の人たちや職場の他の同僚たちの生活を向上させることができます
team inclusion
Source: Pexels/fauxels
詳しい情報や支援が必要な場合は、 をご覧になるか、Fair Work Infoline(13 13 94)にお問い合わせください。言語サポートが必要な場合は、Translating and Interpreting Service (TIS)に電話(13 14 50)してください。

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Published 24 November 2021 5:57pm
By Chiara Pazzano
Presented by Yumi Oba


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